高知工科大学

科目・カリキュラム

固体力学特論
担当:楠川 量啓 教授

機械や構造物の設計においては固体力学をはじめとする種々の力学に関する知識が重要となる。本科目では固体力学をさらに深く理解することを目的とする。具体的には学部において学習した材料力学および固体力学を発展させ、組合せはりや平板の曲げといった実際の問題での応力や変形が計算できるようにする。また、テンソルの基礎を修得するとともに、応力やひずみを一般的に捉えることを通じて、線形弾性論の基礎を理解することも目的とする。

熱力学特論
担当:川原村 敏幸 教授

熱力学は、熱を機械仕事に変換する際に必要な学問であり、エネルギーを取り扱う工学分野に関わる人にとって必須の科目である。輸送機器(自動車・航空機・船等)、空調設備(エアコン・冷蔵庫)、プラント(発電所・鉄工所)等、エネルギーに関わるあらゆる機器の設計には熱力学が不可欠である。この授業では、学部時代に学んだ熱力学に関する基礎概念を基に、より詳しく熱力学を理解し、熱機関の仕組み・原理を理解する。

流体力学特論
担当:荻野 要介 講師

「流体の運動方程式を数学的に近似し、コンピュータ上で流れの様子を模擬する」学問を数値流体力学と呼ぶ。解析的に解を得ることが困難な運動方程式に対しその近似解を算出することで、流れ場挙動の数値予測を実行できるようになる。航空宇宙機や流体機械などの設計開発の現場において数値流体力学は、風洞試験とともに相互補完的に同時利用されることが多く、近年の計算機資源の発展を背景として進歩を続けている重要な学問分野である。本講義ではその近似計算手法や航空宇宙工学関連分野への適応例についても紹介する。

機械力学特論
担当:園部 元康 准教授

学部で学んだ比較的単純なシステムの振動解析手法を拡張し、多自由度系および連続体の解析への理解を深める。また、実用的な振動解析を行うためにフーリエ解析に基づく信号処理や、実験モード解析を学ぶ。

知能ロボット工学
担当:王 碩玉 教授

予め決められた単純な作業しかできない産業用ロボットと違って、知能ロボットは、異なる環境に応じて取るべき行動を自律的に推論し、そして実行する能力を持っている。適切な行動を推論するには、知識が要る。知識は学習によって獲得される。すなわち、賢く作業できる知能ロボットを構成するにあたって、メカニカル機構以外には、推論機能と学習機能を備えなければならない。知能ロボット工学では、学習アルゴリズムと推論アルゴリズムについて修得することを目的とする。具体的には、①知識獲得の立場から、ニューラルネットワークや強化学習やジェネティックアルゴリズム学習法と、②知識使用の立場から、曖昧な概念を定量化表現するファジイ集合によるヒューマン推論法、③これらの手法を用いて知能ロボットの実現について学ぶ。

制御工学特論
担当:泉 晋作 准教授

制御工学では、制御対象の数理モデルに基づいて議論が展開されるため、実現できることはその数理モデルの形式に依存する。本授業では、数理モデルの観点から制御に関する視野を広げるために、学士課程で学んだ現代制御理論を基礎として、そこで扱ったモデルを拡張した、あるいはそれとは異なったモデルに基づく制御理論を学ぶ。具体的には、「非線形システム」と「離散時間システム」の制御理論の基礎を学ぶことを目的とする。

機械材料加工学
担当:竹内 彰敏 教授

機械の性能やコストは製造段階だけで決まるものではなく、設計段階で決まる部分が大きい。講義の前半では、物質の構造や合金化等の材料物性に関わる基礎を、後半は、塑性加工(圧延)の基礎と実際について学習する。

マイクロ・ナノ加工学特論
担当:稲見 栄一 准教授

近年のナノテクノロジーの発展は目覚ましく、材料、環境エネルギー、エレクトロニクス、医療などの広い範囲で技術革新がもたらされている。本講義では、超精密デバイスの実現に向けたナノ加工技術を中心に、それらの原理を学び、超微細加工・極限微細加工に関する知識を深めることを目的とする。

伝熱工学特論
担当:松本 泰典 教授

伝熱工学は、伝導伝熱、対流熱伝達、ふく射伝熱といった熱の移動形態と熱移動速度を取り扱う学問であり、熱を利用している様々な機器を設計・開発する上で、効率よく熱を移動(加熱・冷却)させるための知識が必要である。この授業の目的は、伝熱工学の基礎を学ぶとともに、熱交換器など様々な熱機器の設計に必要なモデル化と解析方法を修得する。

工学モデル解析
担当:辻󠄀 知宏 教授

工業製品の設計や生産計画、さらにロボットなどの知能化機械の制御においてコンピュータシミュレーションが多用されるうになってきた。これらの現場では、コンピュータシミュレーションに関する深い知識が要求される。本講義では、実際の機械工学分野に現れる物理現象を例に、物理現象のモデル化(支配方程式の導出および解析条件の設定)、数値計算法、プログラミング技法、計算結果の可視化および考察までを行う。

メカトロダイナミクス
担当:芝田 京子 教授

ロボットや自動車など知能化された機械の動力学の本質を学習することが目的である。機構系を電気制御系で駆動するシステムの動的な設計を行う場合には、機構系だけを考えるのではなく、機構系と電気制御系の連成を考慮したシステムで考える必要がある。ここでは、機構系を中心に、それに電気系、制御系が加わった系を取り上げて学習する。

航空機材料工学
担当:高坂 達郎 教授

航空機には主としてジュラルミンやチタン、最近ではFRPなどの軽い材料が使われていることを知っている学生は多いが、それを用いてどのような設計をすればよいかについては知られていないだろう。現代の航空機では、運用時における損傷状態を検査によって追跡することを前提とした。損傷許容設計が用いられている。これは、損傷進展を予測する技術があって可能になった設計思想であり、それを理解するためには破壊力学の知識が必要となる。また、近年の航空機材料で最も大きな出来事が、CFRPの採用であろう。非常に軽くて強いという航空機にとって極めて大きな利点を持つ材料であるCFRPは、その反面強い異方性を持っており、その力学挙動を予想して設計に用いるには異方性の力学をある程度理解しなければならない。だが、異方性の力学を理解して卒業する技術者の数は非常に少ないのが現状であり、急激に増加している複合材料構造の設計者の需要を満たせていない。よって、本講義では、疲労設計および複合材料設計のスキルを持つ技術者の育成を目的として、損傷許容設計に必要な破壊力学の基礎知識と、複合材料構造の設計に必要な異方性の力学の基礎知識を修得することを目的とする。

飛行力学
担当:原田 明徳 非常勤講師

航空機はおよそ100年の研究開発の歴史の中で技術の粋と言われるほどにまで性能が高められ、現代における長距離輸送手段として必要不可欠なものとなっている。本講義では、一般的な固定翼航空機すなわち飛行機と滑空機の飛行性能(Flight performance)および動力学(Dynamics)について学ぶ。

セミナー
担当:全教員

特別研究に向けて各自の研究テーマの背景を深く理解する。また、自分のテーマについて発表したり、他者の発表を聞いたりすることで効果的なプレゼンテーションの方法を探求する。具体的には、毎回の授業時間ごとに数名ずつが各自の研究テーマについてプレゼンテーションを行う。一方、聴講する受講者は発表内容の要点をきちんとまとめてレポートとして報告する。また受講者間でディスカッションすることにより、互いの意見を理解するとともに自分の考えを的確に伝えるスキルを身に付ける。